「匂いの帝王」ルカ・トゥリンが評価する!
希代の有名ブランドからニッチブランドまで
香水を5段階に分けて辛口評価

香水集めという、途方もなく金のかかる趣味を始めさせられたくない人は読むべきではない一冊

「匂いの帝王」と呼ばれるほど、熱心な香水コレクターで臭覚研究者でもあるルカ・トゥリンとタニア・サンチェスによる香水の批評本。忖度のない、ウィットと愛情に飛んだ辛口評価が読んでいて大変面白く、読めば、まだ知らぬ香水の香りに、興味を掻き立てられるだろう。

香りというのは不思議なもので、気化した匂い分子は鼻の臭細胞を経由して、視床下部や大脳辺縁系などに直接作用し、様々な感情や記憶を呼び起こさせる。

私たちは香りを嗅ぐことで、日々様々な情報をキャッチし、落ち着いたり、空腹を覚えたり、様々な感情を呼び起こすのである。

そんな香りの力を用いて、自らを素敵に見えるようにコーディネートしたいとは考えたことはないだろうか。

この本はこれから新しく香水を探す人に、本当に良い香りとは何かを教えてくれる。

もう既に香水を持っている人は、自分の持っている香水がどのような評価を受けているか、確認してみるといいだろう。

もちろん、香水の好みというのは、主観的なものなので、この本で高く評価されている香水が、必ずしも万人にとって良い香りではないだろうが、この著者の論評は、時にとても皮肉的で、ウィットが効いており、ユーモアに満ちている。

聞いたことのない香水でも、批評を読めば一体どのような香りなのか、興味がそそられるし、高い評価を受けているものに関しては、是非とも自分自身でも試してみたくなる。


実物が手元になくても、読み物として非常に面白いので、読んでいて飽きるということはないだろう。


繰り返しになるが、香水集めという、金のかかる趣味を始めさせられたくない者は、この本を読むべきではない。私はこの本に出合ってしまったせいで、あれこれと買い漁るようになってしまった。




★★★★★
最高の夜を過ごしたあとも、その服から匂い経つような、心刻まれる香りの記憶。
★★★★
凛とした冬の並木道で凍った空気を胸いっぱいに吸い込んだときのかんじだ。秀逸。
★★★
最近のニッチなブランドらしい作品だ。50mlで425ポンド。
★★
経っていられなくなって嘔吐する姿をセクシーとおもえるなら、ぜひ試してみるといい。

あまりにもひどくて、試香紙をテーブルに置いておくのもたえきれずトイレに流してしまった。


今回紹介したのは「世界の香水ガイドⅢ」だが、もちろん、Ⅱ、Ⅰもある。ただし、Ⅱ、Ⅰは絶版。

 

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